コラム
中道 健太
販売中のモデルハウスを買うのは本当にお得? 購入のメリットと注意点
家づくり
こんにちは!アヤホームの中道です。
新築戸建てを建てたり購入したりするのは予算的に難しい。でも、家族みんながくつろげる一戸建てのお家が欲しい…。そんな方にとってチャンスになるのが、モデルハウスの販売です。ただしお得に感じられる一方で、注意点があるのも事実。失敗や後悔のないよう、モデルハウスの特徴や購入時の注意点などをしっかり把握しておきましょう。
「モデルハウス」とは?
モデルハウスは、ハウスメーカーや工務店が「このような家が建てられます」と宣伝目的で建てて展示している見本物件です。写真や図面だけではわかりにくい部分を直接確認できるため、見学することで家づくりについて具体的なイメージを膨らませることができます。あくまでも宣伝用の見本物件なので、実際に暮らす住居と同等か、少し高めのクオリティで建築されるのが一般的。多くの場合は解体することを前提に建てられています。
モデルハウスが販売される2つのパターン
モデルハウスは一定期間見本としての役割を果たした後、実際の住まいとして販売されるケースもあります。そのパターンは、大きく分けて2つあります。
住宅展示場のモデルハウス
住宅展示場(ハウジングセンターや住宅公園など)に建てられていたモデルハウスを一旦解体し、別の場所に再建築して販売するケースです。
住宅展示場に建てられている物件は各メーカーの最新物件を紹介する場なので、一定期間がすぎると新しいものへと建て替えられます。その際に、元々あったモデルハウスがリユースハウスとして販売されることがあります。
分譲地に建てられたモデルハウス
分譲地内の一角にモデルハウスとして建築され、一定の見学期間を設けた後、売りに出されるケースです。分譲地に一般住宅のように建てられているため、実質的には建売住宅と似ています。
メーカーによっては宿泊体験などを実施していることもあり、より実際の住まいのイメージを持ちやすくなります。
モデルハウス購入のメリット
設備や機能性が整ったモデルハウスは、マイホームを持ちたい方にとっては魅力的な物件です。モデルハウスをそのまま購入する場合、以下のようなメリットが挙げられます。
リーズナブルに購入できる
元々見本用物件として建てられた家なので、一般的な新築戸建て住宅よりも安く購入できるのが大きなメリット。そのエリアの一般的な戸建て住宅よりも広かったり、グレードが高いことも多く、お得に感じられるはずです。
値引き交渉できることも多い
モデルハウスがずっと残っていると固定資産税もかかってしまいますし、メーカーとしても印象が良くありません。そのため、値引きに応じてもらいやすいのもメリットのひとつ。公開期間が過ぎても売れ残っている場合は、大幅に値引きされるケースもあります。気になる物件がある場合は、遠慮せずメーカースタッフに相談してみましょう。
実際に見学してから購入できる
モデルハウスなので、実際に見学してから検討することができるのもメリット。間取りや内装、広さなど、実際に体感したうえで判断することができます。自分のライフスタイルや好みに合う家かどうかをイメージし、しっかり吟味することができるので、失敗が少なくなります。
豪華な設備や家電がつくことが多い
モデルハウスは見学者の憧れの家を再現しているため、おしゃれな最新設備や家電が取り入れられていることが多いです。そのような設備や家電が、販売時にそのまま譲り受けられるのは嬉しいポイント。メーカーによって付属するものは異なりますが、ソファやダイニングセット、カーテンなどのインテリアもそのままつくことも多いようです。
マイホーム購入時は家具や家電など揃えるものが多く、出費が嵩みます。一つひとつ家に合うものを選ぶのも大変な作業なので、元々家電や家具がついているのは手間が省けますし、何よりお得です。
分譲地ならすぐに住める
分譲地に建てられたモデルハウスであれば、解体・移設の手間もなく、大体の設備や家電、家具などがついていることも多いため、購入後すぐに住むことができます。注文住宅と違って何度も担当者と打ち合わせる必要もありませんし、すでに見学済みで住まいのイメージも持てている状態。建物の売買契約だけで購入が完了するため、「できるだけすぐに家が欲しい」「新生活に間に合わせたい」という人には、大きなメリットとなります。
モデルハウス購入の注意点
モデルハウス購入にはメリットもたくさんありますが、デメリットや注意点もあります。失敗や後悔がないよう、デメリットや注意点もしっかり理解してから購入を検討しましょう。
新築扱いではなくなる
分譲地にあるモデルハウスは建築後1年程度、住宅展示場などにあるモデルハウスは3〜5年で販売されることが多いようです。そのため、当然ながら新築扱いにはなりません。中古物件としての扱いになることを事前に理解しておきましょう。
既存住宅瑕疵保険の対象になる
既存住宅瑕疵保険とは、住宅の検査と保証がセットになった保険のこと。購入した住宅に欠陥が見つかった際、補修などにかかった金額が保険金として支払われます。
新築住宅と中古住宅どちらも加入対象となりますが、新築の場合はメーカー側に10年間の瑕疵担保責任を負う義務が発生します。一方で、中古住宅の場合は任意加入となり、保険期間も1〜5年と短くなります。
先に述べたようにモデルハウスは中古住宅扱いとなるため、保険期間が短くなることを頭に入れておきましょう。
内装や設備に傷がついていることも
モデルハウスは一定期間、不特定多数の人が見学に来ていた物件です。そのため、内装や設備、家具などに傷や汚れがついていることがあります。傷や汚れは目につくところだけとは限らないため、購入を検討する際はしっかり隅々までチェックするほか、どのくらい劣化しているのかを担当者にもよく確認しましょう。
また、宿泊体験などを行なっていたモデルハウスではトイレやバスルームなども使用されていたことになるので、設備の劣化が見られることもあり注意が必要です。
人気物件は抽選になることも
大抵の場合、販売されるモデルハウスは1棟のみ。お得に一戸建て住宅を手に入れられるとあって、興味を持つ方は多いです。そのため、人気物件や人気エリアの場合は抽選となるケースもあります。申し込み人数が多くなれば、当然ながら当選確率は下がってしまいます。
設備やインテリアが好みでない場合も
豪華な設備やインテリアが付属されているというのがメリットでもある反面、好みでなかったり、豪華すぎて不要と感じたりすることもあるかもしれません。付属する設備やインテリアは自由に選べないので、事前によく確認し検討しましょう。
住宅展示場のモデルハウスは土地が必要
住宅展示場のモデルハウスは一度解体し、他の土地に移設する流れになります。そのため、新たな土地を用意する必要があります。モデルハウスは平均的な戸建て住宅より大きく、間取りも広いことが多いです。さらに、面積の広さだけでなく、家の形に合った形状の敷地を準備する必要があるため、土地探しに苦労するかもしれません。移設すると立地が変わるため、陽当たりが悪くなってしまった、外からの視線が気になる…と、新たな問題が出るケースもあります。
ただし、敷地に合わせてモデルハウスのプランを変更できることも多いため、担当者によく相談してみましょう。
分譲地のモデルハウスは立地を選べない
一方で分譲地のモデルハウスはすぐに住み始められることがメリットですが、住宅の立地を選べません。分譲地のモデルハウスを購入する際は、住宅の設備や間取りだけでなく、立地や周辺環境についてもよく確認するようにしましょう。
予想外の工事が必要なことも
モデルハウスを購入し、少しだけ自分好みに改修したい、設備を交換したい、といったケースも多くなっています。しかし改装費が予想以上にかかってしまい、せっかくお得に購入したモデルハウスなのに、新築の注文住宅を建てるのと同じくらいの金額になってしまった…といった話も聞かれます。購入前の確認や検討は慎重にしましょう。
住宅展示場や分譲地に建つモデルハウスは、展示期間が過ぎるとリーズナブルな価格で販売されるため、マイホームを持ちたい方にとっては非常に魅力的です。大抵1棟のみの販売となり、見た目の豪華さやお得感から購入を急ぎたくなるかもしれません。しかし、モデルハウスは新築の注文住宅や建売住宅とは異なる点も多いです。失敗や後悔をしないためにも、モデルハウスのメリットやデメリット、注意点などを十分に理解したうえで購入を検討するようにしましょう。