コラム
中道 健太
「住宅性能評価書」とは?評価項目と取得するメリット・デメリットも解説
家づくり

こんにちは!アヤホームの中道です。
近年日本の住宅の性能はとても高くなっており、基準も厳しくなってきています。安全で快適な環境であると同時に、省エネで長く使える良質な住宅が必要とされています。しかし、一般の方にとって住宅の性能は少々難しく、分かりにくいものなのではないでしょうか。そこで住宅性能を客観的に評価できる基準として設けられたのが、「住宅性能評価」です。
住宅性能評価の結果が記載されたものが「住宅性能評価書」です。住宅性能評価では、10分野の性能・評価が表示されますが、4分野が必須項目、6項目が選択項目となっています。
構造躯体の強さや地盤、基礎などの性能を7つの項目で評価します。住宅は柱や梁、壁、基礎といった構造躯体で成り立っており、その下を地盤が支えています。構造躯体は屋根や家財などの重さを支えるだけでなく、地震、風、積雪といった自然の影響からも居住者の生活、命を守る必要があり、大切な部分です。もっとも一般的な項目に耐震等級があり、1〜3までの等級で評価されます。
構造躯体の劣化を遅らせるための対策が講じられているかを評価します。等級2で2世代(50〜60年)、等級3で3世代(75〜90年)と定められています。住宅は日夜雨風にさらされ、太陽光や湿気、シロアリなども劣化の大きな一因となります。最初は高い性能を保持しいていてもすぐに劣化してしまっては意味がないため、対策が必要になります。
長く住宅で暮らすうち、耐用年数が短く点検や交換が必要となる箇所の維持管理が容易に行えるかどうかを評価します。例えば水道の給排水管やガス管などは、あらかじめ建築時に配慮をしなければ補修が難しくなってしまいます。
快適に過ごすためには、温度管理も重要です。夏は暑さから、冬は寒さから守ってくれる家ではなくてはなりません。またエコや省エネの観点からも、高断熱の住宅を建てることは重要です。断熱等性能等級として、1~7が定められています。

「光・視環境」「空気環境」「音環境」「火災時の安全」「防犯対策」「高齢者への配慮」といった、6項目が選択項目となります。なお、中古住宅の場合は9分野で評価されることになっています。
登録された第三者住宅性能評価機関が、設計図書などの必要書類の評価を行い、「設計住宅性能評価書」が作成されます。次に住宅の着工が開始された後に施工段階・完工段階の検査を行います。①基礎配筋、②躯体工事完了時、③下地張り直前、④竣工時の4回に渡って現場に立ち入り、図面どおり施工が行われているかを検査し、「建築住宅性能評価書」が交付されます。
申請は誰が行っても良いですが、設計住宅性能評価書の作成を申し込むには設計図面などの書類を揃えなければならないため、あらかじめ請負業者に相談しましょう。
住宅性能評価書を取得するには費用がかかりますが、取得することで得られるさまざまなメリットがあります。
耐震性や耐久性、省エネ性など、目には見えない住宅の性能が、等級や数値などで具体的に表示されます。
希望の性能が設計に反映されているか、設計どおりに施行されているかなど、第三者機関の公正なチェックを受けることができるのもメリットです。特に現場検査が数回行われるため、完成後は床や壁で見えなくなってしまう箇所も確認してもらえるのは安心感があります。
フラット35を利用する場合、「耐震性」「省エネ性」「バリアフリー性」「耐久性」のいずれかが所定の等級以上であれば、当初5年間の金利が引き下げられる「フラット35/S」が利用できます。また、住宅性能評価書を取得していれば、物件検査の一部を省略することもできます。
耐震等級に応じて、地震保険料が10〜50%割引になります。
親や祖父母から住宅取得資金の贈与を受ける場合、「耐震性」「省エネ性」「バリアフリー性」のいずれかが所定の等級以上であれば、贈与税の非課税枠が1000万円に拡大されます(一般住宅の場合は500万円)。贈与税申告の際に、住宅性能評価書などを添付して証明する必要があります。
設計住宅性能評価書と建設住宅性能評価書の両方を取得した住宅は、万が一建築会社とトラブルになった場合、建築士や弁護士による電話相談や対面相談などが無料で受けられます。また、指定住宅紛争処理機関(全国の弁護士会)に紛争処理を申請することができます。

高い等級や評価を取得するためには、工事費がアップします。また、住宅性能評価書を取得するためには、戸建ての場合数十万円単位の費用がかかります。しかしそれは住宅性能を上げた結果ですし、その後のランニングコストが下がるのであればデメリットとは言い切れません。
また、住宅性能評価書を取得しておけば絶対に不具合が起きないというわけではないため、アフターメンテナンスや定期検査などは怠らないようにしましょう。
住宅性能表示制度により、住宅の性能=安心であることが可視化されるようになりました。できるだけ高性能の家が好ましいことはもちろんですが、住宅性能評価書を取得するにはコストがかかります。ご自身の予算やライフスタイル、そして地域性に合わせた等級レベルを設けるようにしましょう。また、その性能は審査時のものであり、時間の経過とともに変化していきます。住宅性能評価書を取得したからといって安心せず、定期的なメンテナンスや検査を欠かさないようにしましょう。
近年日本の住宅の性能はとても高くなっており、基準も厳しくなってきています。安全で快適な環境であると同時に、省エネで長く使える良質な住宅が必要とされています。しかし、一般の方にとって住宅の性能は少々難しく、分かりにくいものなのではないでしょうか。そこで住宅性能を客観的に評価できる基準として設けられたのが、「住宅性能評価」です。
「住宅性能評価書」とは?
住宅性能評価の結果が記載されたものが「住宅性能評価書」です。住宅性能評価では、10分野の性能・評価が表示されますが、4分野が必須項目、6項目が選択項目となっています。
必須項目① 構造の安定
構造躯体の強さや地盤、基礎などの性能を7つの項目で評価します。住宅は柱や梁、壁、基礎といった構造躯体で成り立っており、その下を地盤が支えています。構造躯体は屋根や家財などの重さを支えるだけでなく、地震、風、積雪といった自然の影響からも居住者の生活、命を守る必要があり、大切な部分です。もっとも一般的な項目に耐震等級があり、1〜3までの等級で評価されます。
必須項目② 劣化の軽減
構造躯体の劣化を遅らせるための対策が講じられているかを評価します。等級2で2世代(50〜60年)、等級3で3世代(75〜90年)と定められています。住宅は日夜雨風にさらされ、太陽光や湿気、シロアリなども劣化の大きな一因となります。最初は高い性能を保持しいていてもすぐに劣化してしまっては意味がないため、対策が必要になります。
必須項目③ 維持管理・更新への配慮
長く住宅で暮らすうち、耐用年数が短く点検や交換が必要となる箇所の維持管理が容易に行えるかどうかを評価します。例えば水道の給排水管やガス管などは、あらかじめ建築時に配慮をしなければ補修が難しくなってしまいます。
必須項目④ 温熱環境
快適に過ごすためには、温度管理も重要です。夏は暑さから、冬は寒さから守ってくれる家ではなくてはなりません。またエコや省エネの観点からも、高断熱の住宅を建てることは重要です。断熱等性能等級として、1~7が定められています。

残り6項目は選択分野
「光・視環境」「空気環境」「音環境」「火災時の安全」「防犯対策」「高齢者への配慮」といった、6項目が選択項目となります。なお、中古住宅の場合は9分野で評価されることになっています。
性能評価の流れ
登録された第三者住宅性能評価機関が、設計図書などの必要書類の評価を行い、「設計住宅性能評価書」が作成されます。次に住宅の着工が開始された後に施工段階・完工段階の検査を行います。①基礎配筋、②躯体工事完了時、③下地張り直前、④竣工時の4回に渡って現場に立ち入り、図面どおり施工が行われているかを検査し、「建築住宅性能評価書」が交付されます。
申請は誰が行っても良いですが、設計住宅性能評価書の作成を申し込むには設計図面などの書類を揃えなければならないため、あらかじめ請負業者に相談しましょう。
住宅性能評価書を取得するメリット
住宅性能評価書を取得するには費用がかかりますが、取得することで得られるさまざまなメリットがあります。
住宅の性能が分かりやすく表示される
耐震性や耐久性、省エネ性など、目には見えない住宅の性能が、等級や数値などで具体的に表示されます。
第三者の専門家によるチェックが受けられる
希望の性能が設計に反映されているか、設計どおりに施行されているかなど、第三者機関の公正なチェックを受けることができるのもメリットです。特に現場検査が数回行われるため、完成後は床や壁で見えなくなってしまう箇所も確認してもらえるのは安心感があります。
住宅ローンの金利引き下げ対象になる
フラット35を利用する場合、「耐震性」「省エネ性」「バリアフリー性」「耐久性」のいずれかが所定の等級以上であれば、当初5年間の金利が引き下げられる「フラット35/S」が利用できます。また、住宅性能評価書を取得していれば、物件検査の一部を省略することもできます。
地震保険料の割引が適応される
耐震等級に応じて、地震保険料が10〜50%割引になります。
贈与税の非課税枠が拡大される
親や祖父母から住宅取得資金の贈与を受ける場合、「耐震性」「省エネ性」「バリアフリー性」のいずれかが所定の等級以上であれば、贈与税の非課税枠が1000万円に拡大されます(一般住宅の場合は500万円)。贈与税申告の際に、住宅性能評価書などを添付して証明する必要があります。
トラブルが起きた際に紛争処理機関を利用できる
設計住宅性能評価書と建設住宅性能評価書の両方を取得した住宅は、万が一建築会社とトラブルになった場合、建築士や弁護士による電話相談や対面相談などが無料で受けられます。また、指定住宅紛争処理機関(全国の弁護士会)に紛争処理を申請することができます。

住宅性能評価書を取得するデメリット
高い等級や評価を取得するためには、工事費がアップします。また、住宅性能評価書を取得するためには、戸建ての場合数十万円単位の費用がかかります。しかしそれは住宅性能を上げた結果ですし、その後のランニングコストが下がるのであればデメリットとは言い切れません。
また、住宅性能評価書を取得しておけば絶対に不具合が起きないというわけではないため、アフターメンテナンスや定期検査などは怠らないようにしましょう。
(まとめ)
住宅性能表示制度により、住宅の性能=安心であることが可視化されるようになりました。できるだけ高性能の家が好ましいことはもちろんですが、住宅性能評価書を取得するにはコストがかかります。ご自身の予算やライフスタイル、そして地域性に合わせた等級レベルを設けるようにしましょう。また、その性能は審査時のものであり、時間の経過とともに変化していきます。住宅性能評価書を取得したからといって安心せず、定期的なメンテナンスや検査を欠かさないようにしましょう。