コラム
中南滋充
土地の探し方・決定版!土地のチェックポイントやうまくいかないときの対処法も
家づくり
こんにちは!アヤホームの中南です。
新年度に入り、これからマイホームを持ちたいと考えている方もいらっしゃるかもしれません。これから家づくりをする方にとって、最初の難関が「土地探し」です。近年物価の上昇とともに、土地の価格も上昇しています。そんななか、理想の土地に出会うためにはいくつかコツやポイントがあります。今回は良い土地を探すための方法や注意点をお伝えします!
土地探しを始める前に決めておくこと
土地探しを始めるにあたり、あらかじめ決めておかなくてはならないことが3つあります。
土地の予算を決める
まずは土地にかけられる予算を決めます。現在の経済状況はもちろん、今後の収入や支出、転職の予定なども考慮し、どのくらいの予算がかけられるのかを確認します。土地だけでなく、家を建てるための費用や外構費用、税金や手数料などの諸費用もかかるため、トータルで予算を組むことが大切です。ローンを利用する場合は、いくらのローンが組めるのかも確認しましょう。
土地の希望条件を決める
土地はすべて条件が異なり、同じものは2つと存在しません。そのため、あらかじめ自分が理想とする土地の条件を決めておきましょう。土地の形状や方角、広さ、エリアや学区、周辺環境、駅までの距離など、さまざまな条件が挙げられます。ただし、すべての条件をクリアする土地はなかなか見つかるものではありません。細かく挙げた希望条件のなかで優先順位をつけておき、「これだけは譲れない」という条件も決めておきましょう。
土地探しの期限を決める
なかなか理想の土地に出会えない、もっと良い土地がありそうな気がする…と、土地探しが長くかかってしまう方もいます。ダラダラと探し続けて家を建てるタイミングを逃してしまう方もいるため、「子どもが小学校に入学するまで」「35歳になるまで」など、ある程度期限を設けて土地を探すのがおすすめ。土地探しにかける期間は、3カ月から1年程度が理想です。
土地探しに必要な基礎知識
スムーズに土地を探すために、土地に関する基礎知識や用語はしっかり学んでおきましょう。
用途地域
用途地域とは、計画的な市街地を形成するために、都市計画法に基づいて定められた13のエリアです。エリアごとに建てられる建物の種類や大きさなどに制限が設けられているため、家を建てたい土地がどのエリアに当てはまるかは必ず確認するようにしましょう。
建ぺい率
建ぺい率とは、建物の敷地面積に占める建築面積の割合を指します。敷地いっぱいに建物が建つと建物同士が密集し、生活環境が悪くなるほか、火災時も延焼しやすくなります。そのため、建ぺい率は「建築面積÷敷地面積×100」と建築基準法で定められています。
容積率
容積率とは、敷地面積に対する建物の延床面積の割合です。「延床面積÷敷地面積×100」で計算され、その敷地で何階建ての建物を建てられるかの指標にもなります。用途地域によって建てられる建物には決まりがあり、快適な住環境の維持のために制限が設けられています。
建築物の高さ制限
用途地域や都市計画などによって、建てられる建物の高さには上限があります。道路斜線制限、隣地斜線制限、北側斜線制限、絶対高さ制限、日影規制などがあり、それぞれ高さ制限の内容が異なります。
角地・中地
土地には大きく分けて「角地」と「中地」があり、それぞれ特徴があります。角地とは、交差する2つの道路に接する角の区画の土地のこと。開放感があり、陽当たりが良い場合が多いです。ただし前の道路の人通りや車の往来が多い場合はプライバシーが気になったり、価格がやや高買ったりするデメリットがあります。
一方で中地は、三方が建物に囲まれた土地のこと。角地より価格が安い傾向にあり、プライバシーを守りやすいのがメリットです。ただし、玄関の位置や駐車場の位置が限定されることが多く、角地に比べて開放感に乏しい点もデメリットと言えます。
土地探しの基本方法
土地を探す方法は主に4つ。各方法を上手に活用し、理想の土地を見つけましょう。
不動産会社に依頼する
もっとも一般的な方法は、希望するエリアの不動産会社に依頼することです。土地探しのプロですので、自分の希望を遠慮なく伝え、条件に合った土地を探してもらいましょう。インターネットに掲載していない、その不動産会社にしかない情報が得られることもあるので、いくつかの会社に足を運んでみると良いでしょう。
ハウスメーカーや工務店に依頼する
家を建ててほしい施工会社に見当がついているのであれば、直接その会社に相談してみるのもおすすめです。家を建築することが専門ですが、土地探しから受け付けている場合も多くあります。家を建てるのに適した土地を探してくれるほか、土地と建物をトータルで予算設定できるため、安心して依頼できます。
インターネットで探す
近年一般的になっている探し方です。情報量が多く、さまざまな土地の情報を探すことができるので便利ですが、実際の土地の雰囲気や周辺環境についてはイメージしにくいため、インターネットの情報だけでは決定しないようにしましょう。
現地に出向いて探す
家を建てたい地域に実際に足を運び、周辺住民の様子や環境なども確認しながら歩いてみましょう。その場で売土地を見つけたり、そのエリアの不動産店で希望する土地に出合える可能性もあります。
土地探しのチェックポイント
土地を探すうえで、必ずチェックしておきたいポイントがあります。その後の暮らしに大きく関わってくるため、しっかり確認するようにしましょう。
周辺環境
周辺環境はその後の暮らしに直結する重要なチェックポイントです、気になる土地がある場合や、住みたいエリアが決まっている場合は、必ず現地に出向いて確認しましょう。買い物施設や公共施設、病院や銀行などの場所、学校までの距離などのほか、騒音やにおい、交通量や治安も重要です。騒音やにおいは時間や天気などによって異なる場合もあるため、異なる日時で何度か出向いてみることをお勧めします。また、治安に関しては街灯の整備状況、落書きや放置自転車がないかなどを確認します。
面積や形状
土地の面積や形状によって、建てられる家の規模・間取りが変わります。土地の形状は大きく「整形地」と「不整形地」に分けられ、整形地は正方形や長方形の土地、不整形地は三角形や台形、旗竿地などがあります。整形地は家が設計しやすく、自由度が高くなる一方で、価格が高くなる傾向に。不整形地は特殊な間取りになったり、デッドスペースが生まれたりする可能性がある反面、陽当たりが良い土地や価格が安い土地が見つかる可能性があります。
高低差
土地の高低差も重要なチェックポイントです。高低差が激しい場合、家を建てるために盛土工事や擁壁工事が必要になる場合があります。そのような工事が必要になった場合は、その分の金額と期間が上乗せされるので注意しましょう。
境界線
隣地との境界線も必ず確認しておきましょう。境界線が曖昧な土地は、購入後に隣家の住民とトラブルになることがあります。まずは登記簿の情報を確認し、次に確定測量図や境界標の有無を確認することになります。もし境界が確定していない場合は、売主に境界確定測量を依頼しましょう。境界線のほかに、塀や垣根などの越境物がないかも確認してください。
災害リスク
過去に起きた災害や、市町村から公開されているハザードマップは必ず確認するようにしましょう。ハザードマップとは、自然災害の被害を予測して被害範囲を色分けした地図で、洪水・地震・津波・高潮・内水・土砂災害のリスクを確認できます。土地探しの段階で確認しておくことで、リスクの少ない土地を選ぶことができます。
道路状況
土地に面する道路は、住宅の建築に大きな影響を及ぼします。建物を建てる際は建築基準法で定められた道路に2m以上接していなければならず、前面道路の幅員が4m未満の場合は建物をセットバックさせる必要があります。
地盤の状態
その土地の地盤が軟弱な場合は、地盤改良が必要になるケースがあります。そのために高額な費用がかかるため、注意が必要です。地盤の強さを確認するためには地盤調査を行う必要がありますが、ハザードマップなどで確認できることもあります。
インフラの整備状況
上下水道やガス、電気のインフラが敷地内に引き込まれているかをチェックします。インフラが整備されていない土地は、別途引き込み工事の費用負担が発生します。
その他建築・生活の障害になりそうなもの
樹木や電柱、ガードレール、縁石など、建築や工事車両の出入りの妨げになりそうなものはないか確認します。もし障害になりそうなものがある場合は、それらを撤去したり移動させたりする手続きや費用が必要です。
スムーズに土地を探すための4つのコツ
スムーズに土地探しをするためにはコツがあります。今回ご紹介する4つの内容を踏まえて、賢く土地探しをしましょう。
安さだけで選ばない
安い土地があると飛びつきたくなるものですが、安いだけの理由があるかもしれません。例えば、「土地の後ろに墓地がある」「地盤に問題がある」「インフラが整備されていない」「土壌汚染がある」「災害リスクがある」などの理由が考えられます。このような問題が隠れていた場合、安く土地を購入できたとしても、改良や引き込み、造成などに余計な費用がかかり、結果的に割高になってしまいます。安い土地には何か理由があるということを念頭に置き、値段だけで判断しないよう注意してください。
実現したい暮らしをイメージする
土地探しは、自分の人生を送る場所を探すことでもあります。これからの家族のライフステージを想像し、どのような生活をしたいのか、その生活を叶えるためにはどのような家と土地が必要なのかを整理しましょう。例えば、「子どもと遊べる広い庭が欲しい」「夫婦ともに車を所持しているため2台分の駐車スペースが欲しい」などです。しかし、広い庭と2台分の駐車スペースの両方を叶えるのは難しい場合もあります。その場合は、どちらの優先度が高いのか、どちらが譲れない条件なのかを考えてみましょう。
現地に出向いて自分の目で確かめる
土地を購入する際は、不動産会社などが土地の説明をしてくれます。ただし、すべての内容を告知する義務はないのです。説明の義務があるのは宅建業法上の重要事項説明に該当する部分のみなので、それ以外にあたるハザードマップや土地の権利関係、土地にかかっている規制、ライフラインなどは説明されない可能性があります。そのため、気になる土地に関しては自分で調べたり、現地に出向いて確認したりすることが大切になります。
早めに決断する
土地の候補は見つかってもなかなか一つに絞りきれず、ずるずると時間が経ってしまい、当初の予定より家づくりが大幅に遅れてしまうケースも。探している間に新たな要望や条件が出てきたりすることで、優先順位が整理できていない可能性があります。土地探しの譲れない条件をしっかり定め、その条件をクリアしている土地を見つけたら早めに購入の決断をすることがマイホームを持つうえでは重要です。
なかなか希望する土地に出合えないときは?
希望条件の優先順位を定め、一生懸命土地探しをしていても、なかなか希望する土地に出合えないこともあります。その場合は、以下の方法も試してみてください。
エリアを広げて探す
希望する物件情報が集まらない場合は、エリアを広げたり、新たなエリアで土地探しをしてみましょう。人気エリアの土地はすぐに売り切れてしまうため、エリア条件を緩和させて再度土地探しをします。
不整形地や北向きの土地も候補に入れる
多くの方は整形地や南向きの土地を探しています。そのため、整形地や南向きの土地は価格が高くなったり、すぐに売り切れてしまったりします。一方で、狭小地や旗竿地、北向きの土地なども候補に入れると、一気に選択肢が増えることも。形状や方角の条件を緩和することで、穴場物件に出合えるかもしれません。
建築条件付き・古家付き土地も含めて探す
どうしても更地が見つからない場合は、古家付きの土地を選択肢に入れてみるのも手です。ただし、古家付きの土地は建物を解体するための費用と時間が必要になります。また、建築条件付きの土地を候補に入れる方法もあります。この場合、ハウスメーカーを自由に選ぶことができなくなるため、自分が家を建てて欲しいと思えるメーカーかどうかを必ず確認するようにしましょう。
土地探しを始める前に事前準備をしっかり行い、コツをおさえて探すことで、理想の土地に出合える可能性がぐっと高まります。理想の暮らしをイメージし、そのための希望条件を洗い出して優先順位をつけ、候補地が見つかったら現地で確認し、早めの決断を心がけましょう。土地のチェックポイントを踏まえ、失敗のない土地探しをしてくださいね!